365日のストーリー

忘れたくないあの1ページ

『一度OKしたら最後...』

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今回の心理学テーマは
フット・イン・ザ・ドア・テクニック

これは一体どんなものなのか。
はたまた、どんな使い道があるのか。

とあるカップルを覗いてみよう。

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付き合って2ヶ月が経った頃。
この時期はカップルにとって絶頂期。
もはや「キミしか見えない」状態。

今日はデートの日。
休日ということもあり、
都内は人人人人人。

 

 

「ね~かずく~ん。お腹すいたよ~」

 

「そうだね...じゃあご飯でも食べに
行こうか!」

 

「やった!イタリアンが良い!この間ね、
テレビでやってたの!そこ行きたい!」

「うん!ミサちゃんが言うなら
そこにしようか!」

 

そこは、決して安いとは言えない
高級イタリアン。
入社1年目の新米社会人には
少しどころか、かなりお財布に厳しい。

しかし、すべては彼女のため。
冷凍食品を詰めただけの弁当と水筒を
職場に持参し、節約生活を始めたのだ。
これくらいの望みは叶えてあげたい。

そんなことを知るはずもない彼女は、
遠慮なんて言葉は知らないかのように
フルコースを堪能。

 

「次はね、デザートが食べたい!」

 

「デ、デザート?さっきのお店で食べれば
よかったのに」

 

SNSでみんながおいしいって言ってた
パンケーキが食べたいの!」

 

「わかったわかった。行こう行こう」

 

決して甘いものは得意ではないが、
そんなことは関係ない。
彼女が喜んでくれるなら、
生クリームだって怖くない。

 

「ふぁ~美味しかったぁ~」

 

肘をついて、両手を頬にあてながら、
満面の笑み&上目使いで見つめてくる。

 

「そ、そんな嬉しそうな顔してくれるなら
来てよかったよ」

 

この顔が見れるなら、
なんだっていいように思えてくる。
彼女がトイレで席を立ったとき、
財布の中を見てぞっとした。

でも、やっと手にした幸せなんだ。
お金で得られる幸せだってあるに決まってる。

 

「かずくん!お洋服見に行きたい!」

 

「あ、見に行くの?いいよいいよ!」

 

都内でも有名な、女性向けブランドを
取りそろえるお店へ。
彼女についていくがままに入店したが...
落ち着かない。
女性物の服しか置いてないお店に入っても、男は服を見る彼女を見てることしかできない。

 

「ねぇ、見て見て!これどう?
似合ってるかな?」

 

う、うん!すごく似合ってる!
可愛いよ!」

 

「うわー!嬉しい!ありがとー!」

 

”可愛い”なんてありきたりな言葉しか
かけてあげれなくても、全力で喜んでくれる。

本当に伝えたい言葉は、飾らないのが一番。

 

彼女はアクセサリーを身に着け、
「うーん」と鏡の前で悩んでいる。
パーティーのための服装を
決めかねている王女みたいだ。

 

ねぇ、これほしい!今日のデートの
記念に買って~!」

 

 

来た、やはり来たか。
すかさず横目で値札を確認。

いける、これならいける。
プリンセスに恥はかかせられない。

 

「わかった。じゃあこれは
僕からのプレゼント」

 

やったぁー!!!!かずくん好き~!
ねぇねぇ!今なら洋服とセットで買うと
40%オフなんだって!
これも可愛いから一緒に…ダメ...?」

 

なんだと...。洋服とセット...だと。
いや、一度いいよと言ってしまった手前、
今更ダメだと断るなんて
男らしくないじゃないか。

 

「...わかった。いいよ、一緒に買おう!」

 

 

 

そろそろデートも終わりの頃。

 

 

「今日はありがとね!いっぱい楽しかった!
また行こうね!」

 

「うん、その笑顔が見れるだけで
僕は嬉しいよ」

 

かなりの額を使ってしまった。

まぁ、また節約すれば大丈夫だ。

 

 

 

改札前で彼氏と別れてすぐに、
彼女は慣れた手つきでスマホをいじりだす。

 

”今日は食べたかったイタリアンと
パンケーキ食べて、
欲しかったお洋服も買えた!充実!!”

 

 

すかさずSNSを更新。
芸能人ばりのマメさ。

アプリを閉じ、再びスマホをぽちぽち...。

 

 

「あ、もしもし?ひろくん?
ミサ飲み行きたいよぉ~!

え!ホントにー!やったー!
期間限定の、生ハム食べ放題の
お店がいいなぁ~」

 

 

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フット・イン・ザ・ドア・テクニック
...どんなに小さな頼み事でも一度承諾してしまうと、次の頼み事が大きくても承諾してしまう。一貫した振る舞いをする心理を利用した交渉術。

 

 

小悪魔系女子にはくれぐれもご注意を。