『一度OKしたら最後...』
今回の心理学テーマは
『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』
これは一体どんなものなのか。
はたまた、どんな使い道があるのか。
とあるカップルを覗いてみよう。
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付き合って2ヶ月が経った頃。
この時期はカップルにとって絶頂期。
もはや「キミしか見えない」状態。
今日はデートの日。
休日ということもあり、
都内は人人人人人。
「ね~かずく~ん。お腹すいたよ~」
「そうだね...じゃあご飯でも食べに
行こうか!」
「やった!イタリアンが良い!この間ね、
テレビでやってたの!そこ行きたい!」
「うん!ミサちゃんが言うなら
そこにしようか!」
そこは、決して安いとは言えない
高級イタリアン。
入社1年目の新米社会人には
少しどころか、かなりお財布に厳しい。
しかし、すべては彼女のため。
冷凍食品を詰めただけの弁当と水筒を
職場に持参し、節約生活を始めたのだ。
これくらいの望みは叶えてあげたい。
そんなことを知るはずもない彼女は、
遠慮なんて言葉は知らないかのように
フルコースを堪能。
「次はね、デザートが食べたい!」
「デ、デザート?さっきのお店で食べれば
よかったのに」
「SNSでみんながおいしいって言ってた
パンケーキが食べたいの!」
「わかったわかった。行こう行こう」
決して甘いものは得意ではないが、
そんなことは関係ない。
彼女が喜んでくれるなら、
生クリームだって怖くない。
「ふぁ~美味しかったぁ~」
肘をついて、両手を頬にあてながら、
満面の笑み&上目使いで見つめてくる。
「そ、そんな嬉しそうな顔してくれるなら
来てよかったよ」
この顔が見れるなら、
なんだっていいように思えてくる。
彼女がトイレで席を立ったとき、
財布の中を見てぞっとした。
でも、やっと手にした幸せなんだ。
お金で得られる幸せだってあるに決まってる。
「かずくん!お洋服見に行きたい!」
「あ、見に行くの?いいよいいよ!」
都内でも有名な、女性向けブランドを
取りそろえるお店へ。
彼女についていくがままに入店したが...
落ち着かない。
女性物の服しか置いてないお店に入っても、男は服を見る彼女を見てることしかできない。
「ねぇ、見て見て!これどう?
似合ってるかな?」
「う、うん!すごく似合ってる!
可愛いよ!」
「うわー!嬉しい!ありがとー!」
”可愛い”なんてありきたりな言葉しか
かけてあげれなくても、全力で喜んでくれる。
本当に伝えたい言葉は、飾らないのが一番。
彼女はアクセサリーを身に着け、
「うーん」と鏡の前で悩んでいる。
パーティーのための服装を
決めかねている王女みたいだ。
「ねぇ、これほしい!今日のデートの
記念に買って~!」
来た、やはり来たか。
すかさず横目で値札を確認。
いける、これならいける。
プリンセスに恥はかかせられない。
「わかった。じゃあこれは
僕からのプレゼント」
「やったぁー!!!!かずくん好き~!
ねぇねぇ!今なら洋服とセットで買うと
40%オフなんだって!
これも可愛いから一緒に…ダメ...?」
なんだと...。洋服とセット...だと。
いや、一度いいよと言ってしまった手前、
今更ダメだと断るなんて
男らしくないじゃないか。
「...わかった。いいよ、一緒に買おう!」
そろそろデートも終わりの頃。
「今日はありがとね!いっぱい楽しかった!
また行こうね!」
「うん、その笑顔が見れるだけで
僕は嬉しいよ」
かなりの額を使ってしまった。
まぁ、また節約すれば大丈夫だ。
改札前で彼氏と別れてすぐに、
彼女は慣れた手つきでスマホをいじりだす。
”今日は食べたかったイタリアンと
パンケーキ食べて、
欲しかったお洋服も買えた!充実!!”
すかさずSNSを更新。
芸能人ばりのマメさ。
アプリを閉じ、再びスマホをぽちぽち...。
「あ、もしもし?ひろくん?
ミサ飲み行きたいよぉ~!
え!ホントにー!やったー!
期間限定の、生ハム食べ放題の
お店がいいなぁ~」
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『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』
...どんなに小さな頼み事でも一度承諾してしまうと、次の頼み事が大きくても承諾してしまう。一貫した振る舞いをする心理を利用した交渉術。
小悪魔系女子にはくれぐれもご注意を。