「もう失敗なんてしたくない」
何かで失敗したとき。
「失敗なんて誰にだってあるんだから、
そんなに落ち込むなって」
「失敗は成功のもと!
失敗してなんぼでしょ!」
とかもろもろ、
声をかけてくれることがある。
そっか!失敗しても良いんだ!
ふんふーん♪
気にせず切り替えよーっと♪
...なんてできない。できる訳がない。
失敗したらへこむ。
地面にめり込むくらい身体が重くなる。
前向きな励ましが薄っぺらく聞こえる。
失敗なんてしたくない。
した直後はツラくて仕方ない。
何もかも投げ出したくなる。
あんなに頑張ってきたのに、
ちっとも報われないじゃんかって
現実から逃げたくなる。
「本当に?本当に本当に本当に
報われるほど頑張ってきた?」
千春は、小さい身体を大きく見せるかのように
前のめりになっていた。
ここはお決まりのカフェ。
いつも以上に声が大きくて周りの目が
気になったが、彼女はお構いなしに続ける。
「失敗の原因は100%準備不足じゃない
って言い切れる?どうなの?」
「いや...うん」
準備不足。
失敗した事実ばっかり棚に上げて、
やっぱり自分はダメなんだって決めつけて、
失敗した理由から目を背けていた。
「でもね、失敗は挑戦した証なんだよ。
翔くんは、思い切って立ち向かったんだよ。
失敗を覚悟で立ち向かう姿ってさ、
なんかカッコ良いじゃん」
「失敗のどこがカッコ良いんだよ。
成功した奴の方がカッコいいに決まってる」
「失敗の後は、ちゃーんと反省するの。
なんで失敗したのか。
それが分かったら今よりひとつレベルアップだよ。
今度は準備、しっかりね」
人なんて単純で、応援してくれる人が
近くにいるだけで、何度でも立ち上がれる。
ずっと一人だった。
孤独に勝つことが強さだと思ってた。
でも違った。人は人を強くする。
やる気マックス
頑張りマックス。
失敗で味わう悔しさはもう満腹。
これからも、挑戦し続ける。